Insomnium
インソムニウム
今やフィンランドを代表するベテラン・メロディック・デス・メタル・バンドとなったINSOMNIUMの、前作から約3年半振りとなる最新スタジオ・アルバム。前作『Heart Like a Grave』(2019/日本未発売) からは元SONATA ARCTICAのギタリストであるヤニ・リマタイネンが正式に加入しており、バンドとしての表現の幅が以前よりも更に広がった作品となった。 本作は、ヴォーカリストであるニーロ・セヴァネンが執筆したオリジナル・ストーリーを元に制作されたコンセプト・アルバムである。アルバム・タイトルの「Anno 1696」は「1696年」を意味し、フィンランドを含む当時のヨーロッパ諸国で発生した魔女裁判や大飢饉などにより、多くの命が失われた暗黒時代を示す年号である。原作者であるニーロは、「本作はフィンランドの歴史におけるこの暗黒の章を扱うと同時に、狼男を題材とした物語の一つである伝説的なフィンランドの小説"スデンモルシャン"に敬意を表している。これはフィンランドが生んだ最高の小説だ。この小説はとても暗く悲劇的なトーンを持っていて、俺自身もそれを捕らえたいと思いながら物語を書いたんだ。」と語っている。 バンドは魔女狩りを題材とした悲哀の物語を、トレードマークともいえるメロディアスでメランコリック、かつ緩急を織り交ぜたドラマティックな展開の楽曲によって表現しており、さながら映画のサウンドトラックを思わせるような壮大な世界観を見事に作り出している。 日本盤は、物語の本編を語るDISC1に、更に物語を深く掘り下げた補完的な内容であるEP「Songs of the Dusk」をDISC2として追加し、物語の全容を把握することができる2枚組仕様としてリリース。更に20,000字を大幅に超すストーリーの日本語訳も付属しており、熱心なファンには嬉しい仕様となっている。 (2023年2月28日更新 - アルバム『アノ 1696』について)